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過去最大級の最低賃金引き上げが中小企業に突きつけたもの

 

2025年、御社の経営で最も頭を悩ませたテーマは何だったでしょうか。

おそらく多くの社長が「人件費の急上昇」と答えられるのではないかと思います。

実は昨年、最低賃金が全国平均で1,121円となり、前年比で平均66円増という

過去最大級の引き上げ幅を記録しました。物価高騰への対応と政府の強い賃上げ要請が背景にあり、

地方でも時給1,000円超えが常態化しています。

今日は、この歴史的な最低賃金引き上げが中小企業に何をもたらしたのか、

そして2026年をどう乗り切るかをお伝えします。

 

■ パート・アルバイトの人件費が急増しただけではない

最低賃金の引き上げは、単にパートやアルバイトの時給を上げればいい、という問題ではありません。

多くの企業で起きたのが「給与の逆転現象」です。

時給が上がったパート社員と、長年働いている正社員の給与がほとんど変わらなくなってしまう。

これが現場のモチベーション低下を招き、優秀な人材の離職につながった企業も少なくありません。

私がご支援している企業でも、「初任給だけ上げて先輩社員は据え置き」という対応をした結果、

ベテラン社員が一斉に退職を申し出たというケースがありました。賃上げは全体のバランスを

見ながら進めなければ、かえって組織を傷つけることになります。

 

■ 「価格転嫁できた企業」と「できなかった企業」の明暗

賃上げの原資をどう確保するか。2025年は、商品・サービスの価格への転嫁を実行できた企業と、

できなかった企業で明暗が分かれた年でした。

「値上げしても選ばれる付加価値」を持てるかどうか。これが企業の生命線です。お客様に対して、

「なぜこの価格なのか」をきちんと説明できる企業は、値上げをしても支持されています。逆に、

安さだけで勝負していた企業は、人件費増を吸収できず苦しい経営を強いられています。

2026年も賃上げ基調は続くため、継続的な価格戦略の見直しが経営の重要課題となります。

 

■ もうひとつの壁:「働き控え」問題

時給が上がったことで、年収の壁を意識して労働時間を減らす「働き控え」が多発しました。

せっかく時給を上げても、働く時間が減ってしまえば、企業にとっては人手不足に拍車がかかります。

この問題への対応として、社会保険への加入を促し、手取りが減らないように手当を支給するなどの

工夫が求められています。政府も「年収の壁・支援強化パッケージ」として助成金を用意していますので、

これを活用しない手はありません。

特にキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)は、従業員の手取りを維持しながら

社会保険加入を促すことができる有効な支援策です。

 

■ 2026年も賃上げ基調は続く――今から準備すべきこと

2026年も、賃上げの流れは止まりません。今から準備すべきことは大きく3つです。

【1】給与テーブルの全面見直し
初任給だけでなく、全社員の給与バランスを整えることが不可欠です。「なぜこの給与なのか」を

社員が納得できる制度があれば、モチベーションは維持されます。逆に、場当たり的な賃上げを繰り返すと、

社内の不公平感がどんどん膨らんでいきます。

 

【2】業務効率化への投資
高騰する人件費を吸収するには、生産性向上が不可欠です。RPAによる事務自動化や、配膳ロボット、

自動精算機などの導入が進んでいます。「人がやらなくていい仕事は機械に任せる」という決断が、

2026年の利益率に直結します。

 

【3】価格戦略の再構築
値上げしても選ばれる付加価値を明確にすることが求められます。顧客に対して丁寧に説明し、

理解を得ながら適正な価格設定を行うことが、持続可能な経営の基盤となります。

 

■ 最後に

黒字を維持されている社長は、きっと多くの工夫をされて2025年を乗り越えられたことと思います。

ただ、賃上げの波は今後も続きます。

「給与制度の見直しが必要だとわかっているけど、どこから手をつければいいかわからない」

「賃上げ原資をどう確保するか相談したい」――そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。