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2026年は「人事・労務の大変革の年」です。今すぐ準備を始めましょう。
今年2026年は、人事・労務分野において「大変革の年」になることをご存じでしょうか。
とくに中小企業には、大きな影響が予想される法改正が相次いでいます。
注目すべき10のトピックをご紹介させていただきます。
【要点】なぜ今、対策が必要なのか
2026年は、以下のような大きな変化が予定されています。
・5%を超える賃上げの継続
・最低賃金の大幅引き上げ
・カスハラ防止措置の義務化
・社会保険加入対象の拡大
・障害者雇用率の引き上げ
これらは単なる法改正ではなく、会社の人件費や働き方に直結する問題です。
対応が遅れると、法令違反のリスクだけでなく、優秀な人材の流出にもつながりかねません。
【専門家の考察】中小企業が今すぐ着手すべき3つのこと
◆1. 賃金制度の総点検を
2023年以降、2年連続で5%を超える賃上げが実施されています。これはベースアップによるもので、
結果として賃金カーブがフラット化しています。つまり、新人もベテランも給料の差が縮まっているのです。
とくに30代・40代のミドル層からの不満が高まっているケースが増えています。今こそ、賃金制度の
見直しが必要です。職務内容や貢献度に応じた適正な賃金体系を構築することで、社員のモチベーション
を維持し、優秀な人材の定着につながります。
連合は2026年の春闘でも「賃上げ分3%以上、定昇相当分を含め5%以上」を要求しており、この流れは
当面続くと予想されます。人件費の増加を前提とした経営戦略と、それを支える賃金制度の構築が急務と
なっています。
◆2. ハラスメント対策の強化を
2026年10月から、「カスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置」が義務化されます。お客様からの
理不尽なクレームや暴言から、従業員を守る仕組みづくりが必要になります。同時に、就活セクハラ防止も
義務化されます。
パワハラ、セクハラ、カスハラ。バラバラに対応するのではなく、「ハラスメント全体」を対象とした
包括的な仕組みを今から構築しましょう。相談窓口の設置、対応マニュアルの整備、社員への研修実施など、
できることから始めてください。
とくにカスハラについては、労働施策総合推進法で「社会通念上許容される範囲を超えたもの」と
定義されており、具体的な判断基準を社内で共有しておくことが重要です。
◆3. 社会保険の拡大に備える
2027年10月から、従業員36人以上の企業で社会保険加入対象が拡大されます。現在の「月額88,000円以上」
という賃金要件が撤廃され、週20時間以上働くパートタイム労働者は収入に関係なく社会保険に加入することに
なります。いわゆる「106万円の壁」がなくなるのです。
これは、パートタイム労働者の就労意欲に大きく影響します。「社会保険に入りたくない」という理由で、
労働時間を減らす方が出てくるかもしれません。一方で、将来の年金が増えるメリットをしっかり説明すれば、
安心して働き続けてくれる可能性もあります。
来年の話とはいえ、パート従業員を多く雇用している企業では、今から説明会を開くなど、丁寧な対応が
求められます。なお、この改正は段階的に進められ、2035年10月には従業員10人以下の企業にも適用される
予定です。
【その他の注目トピック】
他にも、以下のような変化が予定されています。
・障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げ(2026年7月から)
常用従業員37.5人以上の企業が対象となります。
・最低賃金の大幅引き上げ
2025年は全国平均1,121円(前年比6.3%増)となり、2026年も同水準以上の引き上げが予想されます。
政府は「2020年代に全国平均1,500円」を目標としており、地方の中小企業にとって大きな負担となります。
・同一労働同一賃金ガイドラインの改定
最高裁判例を踏まえたガイドライン改定が進んでおり、正社員と非正規社員の待遇格差に関する監督指導が
強化される見込みです。
・高齢者雇用の見直し
定年を65歳以上としている企業は28.7%に達しており、2026年4月からの在職老齢年金制度の見直しも
相まって、高齢者の雇用・賃金制度の見直しが急務となっています。
・食事手当の非課税枠拡大の検討
現在月額3,500円の非課税限度額が7,500円に引き上げられる可能性があり、実現すれば社員の手取りを
増やす形での福利厚生を検討できます。
・労働基準法の大改正に向けた議論
2026年の通常国会への法案提出はいったん見送られましたが、副業時の労働時間通算見直し、
フレックスタイム制の拡大など、実務に影響が大きいテーマの議論が継続されています。
【最後に】
2026年は、人事・労務の専門家である私たちにとっても、大きな転換点となる年です。法改正への対応は
もちろん大切ですが、それ以上に重要なのは、「従業員が安心して働ける環境」を整えることです。
人手不足が深刻化する今、「ヒト」は最も希少な経営資源です。法改正を「義務」として捉えるのではなく、
「会社を良くするチャンス」として前向きに取り組んでいただければと思います。
とくに、賃上げの継続により人件費負担が増す中で、生産性の向上と価格転嫁の推進は避けて通れません。
同時に、賃金制度の見直しによって社員のモチベーションを維持し、優秀な人材を確保・定着させる
仕組みづくりが求められます。
もし、「うちの会社はどこから手をつければ?」「具体的にどう対応すればいい?」とお悩みでしたら、
いつでもお気軽にご相談ください。一緒に、働きやすい職場づくりを進めていきましょう。